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世界が愛する藍染め Ⅱ 藍染のメカニズム ~天然染料と草木染めのイロイロ話

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こんにちは。tezomeya青木正明です。

突然ですが皆さん、「酸化と還元」というコトバにご記憶おありでしょうか? 中学の理科で耳にされたかもしれません。なぜ突然理科の話かというと、藍染めはこの酸化と還元を駆使しているからなのです。今回はそんな藍染めと理科の切っても切れない縁のお話を致します。

藍染めの主役「インジゴ」

前回も話題にしましたが、我が国で古来使われているタデ科のアイや沖縄のリュウキュウアイ、東南アジアで広く使われているインド藍といった藍染めができる植物は全て「インジカン」という物質をたくさん持っています。このインジカンが2回化学反応を起こして、藍染めのあの深く美しい青色の素(もと)である「インジゴ」になります。インジカンという無色透明の物質がインジゴという青色素に変幻するストーリーも非常に魅力的なのです(実は私たち人間のカラダの中でも起こっていたりします)が、割愛しまして今回はインジゴになってからのお話です。

このインジゴという物質、実は水にほとんど溶けません。繊維に色素をくっつけるためには、まず色素が水に溶けてくれなければ何も始まらないので、このままではインジゴで染めることは不可能です。ではこの水に不溶のインジゴをどのようにして染色するのでしょうか?ここで「酸化と還元」が登場するのですが、その前に酸化と還元のお話を少しおさらいしますね。

「酸化」と「還元」の話

物質を構成している分子には、必ず電子という粒々(つぶつぶ)がたくさん入っています。実はこの電子という粒(つぶ)、よく他の分子に盗まれたりプレゼントされたりするのです。この、電子が盗まれることを「酸化」と言い、電子がプレゼントされることを「還元」と言います。
「あれ、酸素がくっつくことが酸化なんじゃないの?」はい、そうとも言います。どちらも正しいのですがそのあたりを説明しますね。
酸素はとても電子好きな分子で有名です。自分が持っている電子の数では飽き足らず、隙あらば他の分子から電子を奪ってモノにしようといつも企んでいるのです。電子を不用意に持っている分子は酸素から見たら格好の獲物。酸素は、サッとその分子の電子を盗んでしまいます。酸素に電子を盗まれた物質は「酸化」されたわけです。ですがこれで話は終わりません。酸素は盗んだ電子をカラダに取り込むことで自分が“少しだけマイナスのカラダ”になり、逆に電子を奪われ酸化された物質はマイナスが少し無くなることで“少しだけプラスのカラダ”になります。そうするとマイナスのカラダの酸素が、プラスのカラダの分子にくっついてしまうのです。私たち人間社会では盗人はスタコラサッサと逃げていきますが、分子の世界では、ドロボーの酸素と電子を盗まれた分子とがプラスマイナスの力でねんごろになってしまう、というフシギな関係を築きます。これが、「酸化とは酸素がくっつくこと」の理由です。酸素はとっても電子好きなので、酸化と言えばたいてい酸素が関係するのです。

インジゴとロイコインジゴという2つの姿を華麗に動く藍染めの色素についてのイラストですが、ヘタですみません・・。

変わり身の早いインジゴ

さて本題です。イラストに描いた通り、インジゴという分子には酸素が二か所飛び出ているところがありますね。ここの酸素も電子好きです。何かの方法でここに電子をプレゼントしてあげます。すなわちインジゴを「還元」します。そうすると、この酸素のでっぱり部分は電子のおかげでマイナスの電気を帯びた手に変身します。この、電気を帯びた手というのはとても水分子とお友達になりやすいのです。水分子と友達になる手を2つも得たことで、インジゴ自体が水に溶けるカラダに変ります。そしてついでにその時に色も黄色系に変ってしまいます。この状態になったインジゴの事を「ロイコ体」と言います。
ですが、このマイナスの手の電子はとても簡単に盗まれやすく、近くに電子ドロボーが来ようものならすぐに奪われてしまいます。ここで登場するのが空気中の酸素。この状態で空気に晒してしまうと、ロイコ体の手にいた電子は空気中の酸素分子によってガンガン盗まれ、酸素の手の部分はプラマイゼロに戻ります。すると、ロイコ体はせっかく水とお友達になってくれていた手を2本とも失ってしまい、また元の水に溶けないカラダ、すなわちインジゴに戻ってしまいます。もちろん色も青に戻ります。
この、電子をプレゼントされ還元することで黄色の水に溶けるロイコ体にかわり、電子を奪われ酸化することで青色の水に溶けないインジゴに戻る、というインジゴの変身キャラを利用して藍染めをするのですが、長話しすぎると眠たくなりますので(すでに眠いかもですが)、次号に続きます。

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