tezomeya ブログ

tezomeya日記

アップルパイ作るの巻

先月遊びに行った長野の善積農園さんから
リンゴが届いた。

とっても立派な紅玉だ。

紅玉といえば・・・、

「焼きリンゴ!」(番頭)

「アップルパイ!」(アタシ)

ということで、

番頭は山へ焼きリンゴを作りに、
店主は川へアップルパイを作りに行きましたとさ。

紅玉といえばアップルパイなんて
偉そうなこと言ってるけど
アップルパイ作ったことなんてない。

パイ作りもはじめてだ。

パイ生地ってややこしそう・・。
でも面白そう♪

ということで、パイ生地から作ってみたりした。

薄力粉と強力粉のバランスでパイ地が
サクサク(クッキー似)系かモッチリ(パン似)系か
コントロールできるらしいのだが
どのくらいでどうなるかなんて全然知らんので、
薄力粉多めのミックスで作る。

バターを入れて、なになに?
溶けないようにつめたいうちに作業して?
はいはい。了解です。

で?

え?
伸ばしてはたたんで
伸ばしてはたたんで
伸ばしてはたたんで、
それを冷蔵庫に入れて
1時間寝かして?

で、また
伸ばしてはたたんで
伸ばしてはたたんで
伸ばしては・・・

そっか、それでパイってあんな
層になるんだ・・・。

これ、伸ばしてはたたんでるの図。

伸ばして3つ折を2回して
冷蔵庫で1時間寝かして、
ってのを3セットするんだわ。
そうすると、

3の二乗のはたまた三乗だから・・・
なに?3の六乗?

っつことは、
729層にもなるのか!?

すげぇ・・・。パイ生地って。
すごくないです?

これは1時間冷蔵庫で寝かすの図。

冷蔵庫の向こうに貧乏臭く発泡酒が見えてますね。
はい。この単調な作業をやりつづけるには
ビールでも飲んでないとやってられません。

そして、何回も寝かしては伸ばす生地作りの合間に、
主役の紅玉をさく切りして中身のフィリング作り。

切った紅玉を鍋に入れて、砂糖をしこたま入れて、
で、ひたすら煮込む。
焦げないようにたまぁに動かす。

あとは見てるだけなんだけど、
時々動かしてあげないといけないから、
この場を動けないんだよね。

すんごい良い香りが台所に充満してきまして
思わず時々つまんでしまうんですよ。このフィリング。

で、すっぱいんだけどね。

これ、フィリング作ってるの図

向こうにウィスキの瓶が見えてますね。
はい。この香りを我慢するにはウィスキーでも
飲んでないとやってられません。

で、出来たフィリングを、729層になってるはずの
パイ生地でつつんで(これ結構神経入る作業だった)、
オーブンで焼く。

もう、ね、この焼いてるときが、すごいんです。
むせぶようなアップルパイの香りが。
自宅がすっかりケーキ屋さんになってる
わけでございましてですね、

甘けりゃ何でもいいアタシとしましては
クッキーとか食べるのどんだけ我慢したことか・・・。
この1時間は辛かった・・・。

そうして出来たのが、これ。

ミテクレあんまり良くないけど、
味はよかったです。はい。

なんていったって、紅玉ですから。
ちゃーんと酸味が利いてる、
アップルパイなアップルパイの出来上がり!

もちろんパイ生地もちゃんとサクサクで
何重にも重なりあってて。
729層まであったかどうかは定かではないが。

おかげさまで家族にも大好評でした。

でも、出来上がったのが夜中の2時だったので
焼き立てを食べられたのはアタシだけ。
ホクホクでスッパラシイ香りだった。

しかしながらあまりに熱すぎて舌をやけどしたのは
言うまでもない。

甘いものはなんでも大好きなんだけど、
このアップルパイってのは、ちょっと特別。

父方の親戚にとっても好きな伯父さんがいた。
元は数学者だったんだけど食っていくために
薬剤師になって飄々と生きていたヒトだった。

そんな事情を知らない小学生のボクには、
ちょっと変わった面白い伯父さん、
という風情だった。

話がおとなげなく楽しい。
「何故カニは美味しいのか」
ということを議論しよう、と
突然言い出す。
小学生のボクを相手に真剣に
カニの素晴しいところを上げろと言う。

で、ボクが上げたことにイチイチ全部
説明を付けてくれる。明快に。面白く。

中身が肉でぎっしり詰まってるから、
なんて事を言えば
甲殻類と脊椎動物の違いの話をしてくれるし、

はさみが動くのが面白い、なんて事を言えば
はさみを分解して稼動範囲を広げるには
どこを更にどんな風に削ればよいかなんて
ことを真顔でいっしょに研究してくれる。

子供相手に真剣に遊んでくれる。
大人に良くありがちな曖昧さが
この伯父さんには感じなかった。

なので、大好きだった。

で、この伯父さんが、我が家に訪ねてくるときに
必ず手土産で持ってきてくれたのが

ユーハイムのアップルパイだったのだ。

必ずだ。違ったものを持ってきたことは
なかった。

この曖昧さの全くない伯父さんが必ず持ってくるもの。
ユーハイムのアップルパイ。
これは、小さい頃から別格のものだったのだ。

一般的にはユーハイムといえばバウムクーヘンかもしれないが、
だから、僕の中では、断然

ユーハイム=アップルパイ=曖昧無き別格なる存在

なのである。

この伯父さんのお陰で
ユーハイムのカブもどどーんと高かった。ボクの中では。

なので、大きくなってからパイというものが自分で
作れないこともないことを知っても、これはどうも
作ってはいけない、作るべきものではないものだ、
という認識がずうっとあった。

晩年までおもしろき方だったその伯父さんは
既に5年前に他界した。

ボクもこの10年くらいは
お菓子作りなんてとんとしなくなった。

そして今は「作る」といえば染め物だ。

で、紅玉がつるんと手に入った。

なんか、さらっと作ってみたいな。と思ったんです。はい。

とっても楽しかったです。アップルパイ作り。

はるゆきおいちゃん。
アップルパイ美味しく出来ましたよ【^^】。

善積農園さん
http://www.yoshizumi-noen.com/

店主@手染メ屋
https://www.tezomeya.com/

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.

Related Articles関連記事