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アンダルシアのザクロ事情 ~スペインアンダルシア紀行第一回

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月刊で発行されるNDPC(天然染料顔料会議)メルマガに2005年2月~4月まで寄稿した1月のアンダルシア紀行文です。「手染メ屋@アンダルシア」とダブるのも一部ありますが、こちらはちょっと色や染めに関連するトピックを書かせていただきました。3回シリーズです。
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この年末年始は久方ぶりに帰省、両親の住むスペイン南部に滞在しました。3週間利用してアンダルシアを家族でうろうろ、仕事は全くせずのんびりさせていただきました。とはいいながら、やはり気になる染めと色(笑)。あちらに居ながらちょっと目と耳に付いた事柄を書いてみようかと思います。今月から数回ほどお付き合いを・・・。

スペインの南部、アンダルシア地方にはザクロの木があちこちに見られます。石灰質の土壌が多いためか日本のように青々と生い茂る雰囲気はありませんが、水の豊富な土地や海岸部、そして港町や山間の町にもザクロの木の生えているところが必ずあります。ザクロはスペイン語で“Granada”。そう、アルハンブラ宮殿のある有名な古都グラナダは「ザクロ」という意味。そのくらいスペインではメジャーな植物です。

父の友人で古参のタクシー運転手フランシスコがドライブに連れて行ってくれたある日、彼にザクロのことを聞いてみました。もちろん父の通訳付きで(笑)。

「なんでスペインはこんなにザクロが多いの?」
「そらぁ、ザクロは便利な木じゃからな!」
「え、どう便利なの?」
「ほっときゃどんどん実は成るし幹は細工に使えるしなぁ、うん。実は食べられるやろが。そいでもって昔は実の食べカスやら皮やらを腐らせたジュースを作って猟師の網なんぞに塗ってたんじゃ。網が丈夫になるでな、うん。」
「え!?」

そうです、どうもスペインではザクロの実から渋を作っていた様なんです。フランシスコによると、ザクロの実の皮の腐ったジュースは木工品に塗ったり、皮なめしにも使ってた土地もあるとか。もう、彼が子供の頃の話だそうですが。確かにザクロの実の皮はタンニン一杯ですよね。なるほど。スペインのザクロは日本の柿か・・・。
どうしてもザクロの渋を見たくて、フランシスコに頼んで友達の漁師さんのところに連れて行ってもらったのですが、老漁師が言うにはザクロの渋で網を補強していたのはもう30年も前のこと。今はそんなことしなくても強い網があるでなぁ、とぼっそり答えてくれました。スペインもヨーロッパの先進国、そりゃそうだよな・・。うーん、残念。

そっか、昔はザクロで渋を作っていろいろ使ってたから、いつでもとれるようにあちこちに植えていたのか。ホント日本の柿と一緒だな。トコロ変わればシナ変わる、でもやってることは皆同じ。なんかとってもスペインに親近感を持った一場面でした。

ところでスペインにも柿はあります。スペイン語で“kaki”、そのままです(笑)。こちらは食べるだけ。あんまり美味しくなかったですけど・・・。

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