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tezomeya日記

トーキョー その2

偉そうにこないだから色々言ってるけど、
マーク・ロスコのことを知ったのは恥ずかしながら最近だ。

ほら、美大出じゃないし、そーゆー世界には全く疎かったから。
そういう素養が元々ないんです・・。許してくださいm(__)m。

NHKの特集番組だったかなにかで、3年ほど前にロスコのシーグラム壁画の
話を目にした。川村記念美術館のことを知ったのもそのとき。
これは見たい! と思った。

で、別の機会にも何の雑誌だったか、アート紹介コーナーでもロスコと
川村記念美術館を見つけて、もうどんどん頭の中で育ってっちゃったんだよね。

おととし東京に長期滞在の仕事があって、わくわくして行ったらなんと半年休館。
去年の2月にちょこっと東京に用があったときもまだ休館中で、もう泣きそうだった。

で、去年の12月にやっと美術館に行ったら、今度は絵の方がイギリスに出張中・・・。

そのかわりロスコ展として2月に帰ってくる、なんて聞いたもんだから、
もう、頭の中では

ロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコ
スコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロ
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス
ロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコ
スコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロ
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス

って、なってたわけでございます。

そんな頭で展示室に向かう。


あ、全然関係ないけどこれ、美術館の外の庭。きれい。きもちいい。

—で、話は戻って、
大好きなシャガールも、前来た時気になったヴォルスもバーネットニューマンも
そこそこに、ロスコ展の現場にっ!

で、入ったんだけど、

なんか、ちょっと、え?

・・・っていうか、すこし気分悪い。
っていうか、ちょっと不愉快な空間だったりする、ここ。

すんごい広い空間に、横幅3~4m以上あるロスコの絵が
床から1m以上の高さを底辺にして高いところに
きっちりたくさんかかってる。

雰囲気としては、巨大石造群を見てる感じ?
いや、そんなもんぢゃないな。

ロンドンのテートギャラリーでのロスコ展はこんな感じだったらしいです。


(すみません、川村美術館さん、画像を勝手にお借りしてしまいましたm(__)m。)

でも、川村記念美術館での展示はもっともっと天井の高い空間で、その高さを利用して
かなり高いところにステイしてた。

うーん、なんか、だめだ・・。おれ。
こ、こんなはずではなかったのだが・・。

真ん中にクッションベンチがあって、そこで休んでまじまじと四方を見れるので
そこにしばらくいたけど、だめ。落ち着かない、この空間。

ちょっとあがいてみました。

持ってきたカールせーガンのコスモス(Kさんから借りた)
取り出して読んでみたり、

ホセ・メンドーサとの対戦後のジョーみたいにヒザを広げて
うなだれてだらぁ~んとして寝ようとしてみたり、

ipod聴いてみたり(小さい音でね)、

色々なことして見たんだけど、
なにやっても落ち着かない。
その場に3分も居れなかったと思う。

なんなんだろう、これは・・・。

なんとも思わない、ってのとは明らかに違ってたのね。
壁にかかってるものはことごとく気になるんだけど、
気分のいいものではないわけ。

何度も部屋から出ては、再度トライして入るんだけどね。

だめだった。

おれ、ロスコ、だめかも・・・。

あんなに楽しみにしてたのに・・・。

っていう感じでした。

まだロスコの話は終わらないけど、一度あきらめて退散。

打ちひしがれて、前にきたときにお気に入りだった、
バーネット・ニューマンの赤い部屋に行きました。

もう、ほら、クロストークの17時までたっぷり時間があるから、
あちこち行き来して戻ったりしてるわけですよ。

これが、びっくりだった。

こんなトコなんですけどね。


(すみません、また川村さんの画像を勝手に使っておりますm(__)m)

真ん中に赤い横長な絵がある。白い部屋。左右は自然光が入ります。

で、美術館さんからお借りしてる上の画像でもちょっとそれっぽいんだけど、
晴れてて3時頃にいくと、左の窓と右の窓から入ってくる光の色が
明らかに違うのね。

左は空の青。陽があたらないからみたい。でも右は太陽の直接光。
部屋が真っ白なのも手伝って、これで、この部屋の左右の色が
すっかり変わるわけです。

で、真ん中の赤い絵がそれに少なからず影響受ける。赤だけど赤じゃない。
ありていに言うとグラデーションなわけだが。

これが、これが、これが、すんごいかっこよかった!!

前回は雨だったから気付かなかった、これ。

ちなみに夕方16時半くらいにきたときには、左右ともおんなじくらいの
あったかい色の自然光で、これもとっても落ち着いた空気でとってもよかったですよ。

この部屋、本当に心地がいい。
どんだけいても、うん。
特別展のロスコの部屋とは大違いだ。

赤なのに?赤だからなのか?
なんかよくわかんないけど。

・・・

なんて、壁のイスに座って、ロスコの絵で疲れた(笑)カラダを
休めるために、ずっとこの絵見てた。

いつしか無料ガイドツアーの学芸員さんとその一行が。
その学芸員さんが控えめな声で簡単に解説してくれてる。

うん、なになに?そっか、この絵、『アンナの光』って言うんだ。
ふーん。そういえばそんな名前書いてたな。気にしてなかったけど。

で、あぁ、アンナってのは彼女でも奥さんでもなくて?うん?
バーネットニューマンのお母さん?

3年前に死んだお母さんを想って作った絵!?

#$%&*●×!

この言葉を聴いたとき、脊髄に寒い電気走った。
ちょっと涙もでてしまった。不用意にも。

そういうことだったのね・・・。
だから落ち着くんだ・・・。

そういうこととは知らんかった。

え、おれ、バーネットニューマンってアーティストと
同じセンサー持ってるってこと?

いや、そうじゃないな。このアーティストが
全ての人の或る部分の感情を代弁して表出してるんだよな。
・・なんて、ま、そんな重箱のスミ系はおいといて、

母を亡くした世界中の男性は全てこの部屋を訪れるべきです。

と宣言してしまう。

くらい、いい部屋です。
ここは。

・・・と、この赤い部屋を中心に

シャガールのダビデ王の夢や、
ヴォルスの気になる3枚の絵や、
かなり有名らしい日本画(これもいいです、はい)の部屋あたりを
行ったりきたりしながら、

そしてその間に、未練がましく
やっぱりロスコの不愉快さを確認しに行ったりして、

いつしか時間は過ぎていきましたとさ。

で、茂木健一郎さんのお話。

茂木健一郎はとってもまともなことを言っておられました。

モーツアルトもバッハもグレングールドもロスコも
みんな表現の手法なりテクニックなりツボなりどこかに
自分なりの王道を見つけてるから、そのアウトプットは常に

力強い、と。

超一流の人ってのは、そうなんだよね。

なんでクラシックっていいのかとか
素晴らしい表現者は必ず“~風”とか“~的”を確立してるとか

そういうのと同じ話だ。うん。

その話聞いてて思った。

こりゃ、もう一度ロスコ見ないといけないな、と。

いや、今回の展示がいけない、って言ってるんじゃないんです。
そんなこという資格はボクにはありません。

どうも、川村記念美術館の常設展示のロスコルームは
もっと狭いらしい。絵も7点しかないけど。

良くここを訪れる古舘さんの話では、もっと窮屈らしい。

ということは、もっとロスコな空気の密度が濃いわけだ。ある意味。

茂木さんの言うとおり、ロスコの壁画群がものすごいパワーを発してるのは
明らかなんだろう。

ボクもそれで不快に思うんだ。

もしかしたら、それはこの展示室が広すぎるからかも。
(なんの根拠もないが。美術館の方たち、気を悪くされませぬ様)

もっと、狭いところで濃密なロスコルームだったら、

①あまりの濃さにめまいと吐き気がして二度とロスコルームに入れない

②こゆいこゆいロスコパワーがボクを優しく殺してくれる

のどちらかなのではないか、と。おそらく。

このままロスコさんさようならはあまりに悲しい。
こんなに恋焦がれてたのに。
未だボクの片思いの憧れは収まっておりません。

だから、特別展が終わってから また来ます。

6月になって美術館がひと段落したら、またのんびりこようっと。

そのときもロスコさんに嫌われて、①だったらもう諦めます。

②であることを祈って。

というわけで、その後ご近所の古舘さんに車で駅まで送ってもらって
木佐さんと快適な家路へと着いたのでした。

6月のロスコリベンジ、お楽しみにっ!

店主@手染メ屋
https://www.tezomeya.com/

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